ウクライナ侵攻の理由がわかる3冊の本
「同士少女よ、敵を撃て」
ワールドビジネスサテライトの豊島キャスターが、多くの海外文献や国内文献からウクライナ情勢を、ロシア目線で解説した動画があります。
こちらの動画は、ウクライナが侵攻をする前日に配信されたものですが、現実になった今みてみますと、そのロシア側がなぜここまで強行するのかが理解できます(武力行為を理解したという意味ではありませんが)。
歴史的背景には第二次世界大戦での独ソ戦という熾烈な戦いを背景にしているとの指摘があり、そこで紹介されていたのがこちらの「同士少女よ、敵を撃て」です。
ロシア軍の女性スナイパーをとりあげた小説で、どうしても欧米目線での資料や文献が多く難解なものも多いなか、ロシア側の心理をや日本では馴染みのうすい独ソ戦を小説という読みやすいかたちで読める稀有な文献として、おすすめされていました。
著者は逢坂冬馬さん。2021年、本書で第11回アガサ・クリスティー賞大賞を、史上初の全選考委員が5点満点をつけて受賞しデビューします。第166回直木賞候補にもなるなど読み応え十分です。
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「ウクライナ人だから気づいた 日本の危機」
これこそ、ウクライナ侵攻があったからこそ真実味をおびて、説得力をまして読める本かと思います。出版自体は2019年なのですが、当時読んでいたら、なんて偏った主張の本だろう、そんなことはあるわけないだろう、と思ってしまったと思います。
しかし、ウクライナ侵攻が起きてしまったいま、著者が警鐘をならす日本や近隣諸国の危機は真実味を感じます。また、本書ではたんなる仮説だけでなく提案もしているところが多くの人にも受け入れられています。じっさいレビューの件数や評価もたかくおすすめです。
著者は、ウクライナ生まれの国際政治学者であるグレンコ・アンドリーさん。2010年から2011年まで早稲田大学に語学留学し、京都大学へ留学し、その後、ウクライナ情勢や世界情勢について講演・執筆活動を行っている人です。ウクライナを知る著者だからこそ、説得力のある、そして具体的な考察は、今こそ読むべき示唆に富みます。
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「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」
今回のウクライナ侵攻の、ロシア側の根底にあるのは、常に我々は侵略されてきた、という被害者意識です。
1900年代のロシアは常に戦争や混乱に巻き込まれ、一度として平和はなかったと言われています。実際今回のウクライナ侵攻も多くのロシア人は、西側が緊張を高めたという人がほとんどだという調査もあるほどです。それくらいロシアでは追い詰められた感情が支配していることは、私達を含め西側諸国にはあまり知られていません。
とくにこの独ソ戦は、第二次世界大戦のどの有名な作戦よりも、多くの犠牲者を出しています。その背景があって、ロシアは西側諸国のNATO拡大を、これまでの経験とかさねNATO拡大を恐れさせてしまっていることがわかります。
著者は、小説家、軍事史研究家でもある大木毅さん。研究者としてはナチス・ドイツの政治外交史に詳しく、2020年本書で新書大賞を受賞しています。
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さらに緊張をたかめるウクライナ情勢は、わたしたち日本だけでなく、世界からも新たな秩序の構築をつきつけられることとなりました。そして、展開は思ったよりも早く進んでしまうかもしれません。予断を許さない緊迫状況が世界を支配していますが、冷静にこの状況を深く理解し、自分ごととして考えられる糧としたいものです。
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今回のウクライナ侵攻をうけて、紛争地域を描いたコミック「紛争でしたら八田まで」が無料公開されました。
地政学リスクコンサルタントである八田百合が、紛争を解決していく漫画です。「ウクライナ編」は、緊張状態つづくウクライナが舞台です。
さらに、ヤフーニュースでは、ロシアの国民への説明が日本語訳されていました。
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